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発泡プラスチック建築技術協会

施主様のページ 性能アップ・リフォームのススメ!「外張断熱・耐震リフォームSIR 工法」のご案内

価値ある家に住み続けるためには性能アップリフォームが必要です

 日本の家の平均寿命は30年程度といわれます。30才で家を建てたとして、60才になる頃にはもう寿命?! これでは、住宅ローンの返済がようやく終わるという頃に住めなくなり、新しい住まいの検討をしないといけなくなります。しかし、アメリカやドイツなど他の先進諸国においては古くなった家はリフォームして「子や孫の世代まで使い続ける」もしくは「住宅としての価値を維持したまま売却する」ことが多く、家の平均寿命は60年程度から国によっては100年以上になるといわれています。このようにリフォームで家の寿命は長くなるのです。

リフォームの要は「耐震」と「断熱」

 安心して住むためには家の強さである「耐震性」が必要です。少ないエネルギーで快適に住むためには高い「断熱性」が必要です。長く住み継いでいくために、日本でももっとリフォームで「住宅としての価値を維持」して、家の寿命を長くしていく必要があります。家は性能が高ければ長寿命になるのです。
 では、何故「耐震性」と「断熱性」が家の価値を決めるのでしょうか。また、実際に古い住宅の「耐震性」と「断熱性」はどうなのでしょうか。まず、これらから見ていきましょう。

住宅の耐震性能の必要性

 右の図は、木造住宅の耐震性能を示したものです。現行の建築基準法の水準を10とした場合、1981年6月以前の住宅(旧耐震基準の住宅)は7程度の性能しかありません。

 また、左の図は1995年の阪神淡路大震災の際の建築物の被害状況を建築年別にみたものですが、1980年以前に建てられた旧耐震基準の建物の被害が大きいことがわかります。2016年に発生した熊本地震でも同様の状況が報告されています。

 住宅が倒壊してしまえば命の危険に晒されることになりますし、倒壊に至らなくても大破してしまえば住み続けることが困難になります。つまり、安心して住み続けるために住宅の耐震性能は欠かせません。耐震性能が確保されているということは住宅としての価値を維持することにもなるのです。
 私たちの家に耐震性能があるかどうかは耐震診断を行うことによって確認できます。耐震診断によって耐震性能が不足しているという診断結果であれば、早期に耐震リフォームを行うことが望まれます。多くの自治体(市町村)で旧耐震基準の住宅を対象とした耐震診断の補助制度が設けられています。

詳しくは「さらに補助金や減税措置の活用を」をご覧ください

住宅の断熱性能の必要性

 下の図は、北海道及び東京の住宅の断熱性能について、現行の省エネ基準の水準を10として過去の省エネ基準との比較を示したものです。1992年以前の省エネ基準で建てられた住宅は、現在の水準と比べて半分程度の性能しかありません。

 断熱性能が不十分な住宅には、大きく分けて2つの問題があります。ひとつはエネルギー消費量が大きくなること、つまり電気代やガス代が多くかかることです。もうひとつは快適性や健康性への影響です。

エネルギー消費量

 断熱性能が不十分だと冬期に外壁や屋根など住宅の各部位や窓からの熱損失が大きくなり、それを補うための電気代やガス代が多くなります。また、夏期には熱侵入量が多くなり、冷房のための電気代が多くなります。
 住宅の各部位や開口部の断熱を強化することによって、冬期の熱損失、夏期の熱侵入を小さくし、暖冷房のためのエネルギー消費量を抑えることができます。

住宅の快適性、健康性

体感温度

暖房を使って部屋の温度を高くしても、壁や窓の近くにいると寒く感じることがあります。
これは、寒さの感覚(体感温度)は室温だけで決まるのではなく、床、壁や天井などの表面温度に影響されるからです。暑さについても同じで、たとえば夏期に冷房で部屋の温度を低くしても壁や天井の表面温度が高ければ体感温度は室温より高くなってしまいます。

適切に断熱された住宅では、床、壁、天井の表面温度が室温に近づき、体感温度も実際の室温に近くなります。

室内上下温度差

冬期に暖房すると暖かい空気は上昇しますが、断熱性能が不足していると部屋全体が温まる前に熱が逃げてしまい、そのために部屋の上下で温度差が生じ、暖房をしても天井付近ばかりが暖かく足元は寒いという状態が起きやすくなります。断熱された住宅では、熱が逃げることなく部屋全体が暖まり、部屋の上下温度差は小さくなるため、こうした不快感の解消につながります。

部屋間温度差

断熱性能が不十分な住宅では、暖房している部屋と暖房していない部屋の温度差が大きくなります。居間は暖かくても、廊下、トイレ、洗面・浴室は寒いということになり、ヒートショックによる健康被害のリスクも大きくなります。断熱化された住宅では部屋間の温度差が小さくなり、こうしたリスクも低減されます。

住宅断熱化による健康への効果

住宅の断熱化は快適性を向上させるだけでなく、様々な健康へのいい影響があることが報告されています。たとえば断熱改修の前後で最高血圧が平均3.5mmHg改善したという報告がされています。この他にも居間の室温が低い住宅では入浴事故が起きやすくなることなど指摘されています(国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進調査事業)。

国交省のホームページでこれらに関する資料をご覧いただけます。

詳しくは以下から確認いただけます。

国土交通省パンフレット「『省エネ住宅』と『健康』の関係をご存知ですか?」

リフォームするときこそ性能アップリフォームを

家の価値を取り戻すリフォームを

 建物は築年数が経ってくると、いろいろなところに傷みが現れてきます。外壁や室内などの見た目が悪くなり、見えない所も劣化、腐朽し、また浴室やトイレ、台所などの設備の老朽化で使い勝手が悪くなります。さらに、家族構成やライフステージの変化、高齢化などで間取りなどにも不便を感じる方もあるかもしれません。リフォームに至る動機は様々ですが、その時こそ性能アップのチャンスです。その中でも、耐震性と断熱性は家の価値を決める重要な要素です。

「外張断熱・耐震リフォームSIR工法」でリフォーム費用を節約

 価値ある家として長く住むにはリフォームは欠かせませんが、耐震リフォームや断熱リフォームなど大がかりな工事は費用も嵩んでしまいます。
 「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」は既存の外装材を撤去した上で、断熱リフォームと耐震リフォームを同時に行う改修工法です。これらを別々に行う場合に比べ、費用と時間が大幅に削減できます。外装材の張り替えも同時に行うことができることも合わせると、節約効果はより大きなものとなります。

詳しくは次章「外張断熱で耐震性能アップ」をご覧ください。

 さらに、古い窓の交換や、天井・床等の断熱補強、隙間の補修などを行うと断熱リフォームの効果は一段と優れたものになります。また、耐震性に関しては、事前の耐震診断の結果にもよりますが基礎や内壁等の耐震補強を行うと、更に安全な住まいとなります。これらを「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」と同時に行うことによって、建て替えるよりも少ない費用で新築レベルの暖かく安全な住まいが実現するのです。

さらに補助金や減税制度の活用を

 断熱リフォーム(省エネリフォーム)や耐震リフォームを行う住宅に対しては国や自治体の支援制度が設けられています。
 特に耐震化に関しては、耐震改修促進法に基づいて目標が定められていることもあり、ほとんどの自治体(市町村)で無料耐震診断や診断費用の補助などの支援制度が設けられています。また、耐震診断の結果、耐震性が不足しているという評価であった場合には、それを是正するための耐震改修工事に対して支援する制度を設けている自治体もあります。補助対象や補助内容、あるいは募集戸数などの詳細は自治体によって異なるので、お住まいの市町村又は都道府県のホームページや窓口にお問い合わせください。
 省エネリフォームに対する補助としては国の制度として、「高性能建材による住宅の断熱リフォーム推進事業( 断熱リノベ)」や「長期優良化住宅化リフォーム推進事業」などがありますが、いずれも施工業者を通じた申請であり、また補助要件を満たすための工事内容も若干複雑なので、工事をされる会社に相談するのがいいでしょう。


 また、耐震リフォームや省エネリフォームなど一定の要件のリフォームを行った際に、所得税減税や固定資産税減額の措置を受けることができます。耐震リフォーム、省エネリフォームのほかにも、バリアフリーリフォームや同居対応リフォームも対象となります。異なるリフォームを同時に行った場合に、所得税減税どうしあるいは所得税減税と固定資産税減額の両方を申請できることがあります。詳しくはリフォーム推進協議会のホームページから確認することができます。

(一社)リフォーム推進協議会「リフォームの減税制度」

 耐震リフォームや省エネリフォームにはどうしてもそれなりの費用がかかってしまいます。「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」によってこれらをひとつの工事として行うのは有効な方法ですが、他にリフォームが必要な箇所も出てきたりすると、どうしても費用は嵩むことになります。お住まいの地域の自治体や国の補助金、減税措置を有効に活用することによって負担の軽減を図りたいものです。
 そのためには、リフォーム計画を立てる時点で自治体の窓口やホームページなどで補助要件を確認したり、あるいは設計、施工の業者が決まっている場合にはその旨を伝えた上で、話し合いを進めたりするのもいいでしょう。

外張断熱で耐震性能アップ

そもそも外張断熱とは?

 外張断熱は外側からスッポリと断熱材で住宅全体を覆う断熱工法です。一般的には施工のムラが少なく断熱性・気密性が得られやすい工法とされています。また、柱や壁は外側で断熱されているので冬でも冷えずに安定した温度になり、壁体内結露も防いで家が長持ちします。こうしたメリットから新築住宅では外張断熱が採用されることも多くなってきました。
 リフォームの場合でも、既存の外装材を撤去すれば新築と同じ方法で外張断熱することができます。外側から連続した断熱層、気密層で覆ってしまうので、古い住宅の弱点である断熱不足や隙間からの熱損失を解消することができます。特に住まいながらリフォームしようとすると、室内側からの工事はとても難しいので、「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」のように、外壁の外側から工事を実施できる工法の方が工事を行いやすく有利といえるでしょう。

「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」を詳しく知りたい!

 「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」は、家の性能で大切な要素「断熱」と「耐震」、その性能を一度のリフォームでアップさせてしまうという合理的なリフォーム工法です。

 「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」は木造住宅では最も一般的な在来軸組構法を対象にしていますが、劣化や傷みをそのままにした家を断熱耐震リフォームしても性能アップにはなりません。「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」が適用できるのは次のような住宅です。

■躯体が劣化していない、あるいは劣化部分の補修を行った在来軸組構法の既存木造住宅

■「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法(一般財団法人 日本建築防災協会、国土交通大臣指定耐震改修支援センター)」が適用可能な在来軸組構法の既存木造住宅

「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」

なぜ外張断熱で耐震性もアップする?

 「外張断熱・耐震リフォーム SIR 工法」は、外張断熱工法用の木ねじを使うことで、耐震性能向上の要となる構造用合板の留め付けを、釘のみによる留め付けよりも強化。さらに、その構造用合板を覆うように施工される外張断熱には、地震時の激しい揺れによる構造用合板の剥がれを抑える効果があるので、外壁の耐震性能(壁基準耐力)が大幅にアップするのです。
 しかも、使用する材料や施工方法は、これまでの外張断熱工法とほとんど変わらないので、特別なことをしなくても耐震リフォームと断熱リフォームをひとつの工事で実施できる、とても合理的で経済的な工法です。

「外張断熱・耐震リフォーム SIR 工法」は、道総研北方建築総合研究所との共同研究の成果に基づき開発されたものです。
※「外張断熱および通気層を施した面材耐力壁の構造耐力向上技術に関する研究」

外張断熱・耐震リフォーム SIR工法で実際にリフォームするには?

まずリフォーム計画を立てる

 性能アップリフォームを検討するに先立ち、建物の築年数や劣化具合、漏水の有無や結露の発生、寒さの原因などを知っておくのはもちろんですが、家族構成や生活スタイル、不便・不都合が生じていた点、特にこれからの暮らし方についてよく整理をしておくことがとても大切です。

要望の確認・整理

今まで不便に感じていたところは?

今後の生活様式は? この家に何年住む? 間取りはどうする?など

建物の事前調査

専門家に依頼して建物診断

傷んでいる箇所は? どのくらいの劣化?
現在の断熱性能は? 耐震性能は?

性能向上目標の設定

どこまでの性能アップを目指す?(耐震性、断熱性、その他)

リフォーム計画の検討

どのような工事が行われる?

工事範囲(工事が必要な箇所と、手をつけない箇所)、
工法予算、工期、補助金申請 など

リフォームの実施

隠れていた壁の中、土台や柱の状況は?
劣化箇所があれば補修を実施

劣化診断が重要

 さあ、実際にリフォーム工事が始まったとしましょう。外壁が剥がされていきます。
 そこで、まず外壁躯体の「劣化診断」を行う必要があります。劣化診断は外装材等を全て撤去して、躯体が全て目視で確認できる状態にして行います。特に左記の部分は入念な確認を行います。

 躯体の腐朽や劣化が確認された場合、その部分の材料の交換・補修を行ってください。事前調査において、可能な限り躯体の調査を行いますが、全ての躯体を確認できるわけではないので、外装撤去後に想定以上の躯体の劣化が確認される場合があります。このようなとき、工事業者との不要なトラブルを避けるため、補修範囲の拡大や工事内容の変更が生じた場合の取り決めについても、予め契約書等に明記しておいた方がよいでしょう。

 右の画像はまさに、リフォームが始まり外壁をはがし、建物の「劣化診断」を行った際に発見されたものです。屋根の雨水が壁の中に入り込み、長年かかって柱や土台が腐朽して崩れ去り、建物を支えることができなくなっています。このように目に見えない部分で傷みが進行していることがあります。
 大事に至る前に発見されたので、傷んでいる部分を取り替えてリフォームは続けられました。家の診断は人間の健康診断と同じです。適切な時期に行い、家の性能を維持し、愛着のある家に長く住み続けましょう。

※劣化診断および劣化部分の補強については「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法( 一般財団法人日本建築防災協会、国土交通大臣指定耐震改修支援センター)」に準じて行います。

信頼できる工法と施工が大切

 断熱・耐震リフォームの重要性や全体の流れは分かりました。しかし、よく見かけるリフォームの広告は外装の塗り替えや水廻りなどを扱うものが多いようで、実際に断熱・耐震リフォームをするとなると、さてどこに相談したものか迷ってしまいます。また、どんな工法がいいのか、しっかりした工事をしてくれるのかも心配になります。
 一般財団法人日本建築防災協会では建築士を対象にした木造住宅の耐震診断資格者講習会を実施しています。また、各都道府県でも同様の講習会を開催しているので、こうした資格者が所属する設計事務所または工務店に耐震診断や耐震リフォーム計画の作成、あるいは施工を依頼するのが安心といえます。自治体によっては、木造耐震診断資格者の名簿を公開しているので、検索あるいは相談してみるのもいいでしょう。
 また、耐震改修工法にもいろいろありますが、一般財団法人日本建築防災協会では木造住宅の耐震改修工法の専門家による第三者評価を行い、その技術の信頼性を評価する「住宅等防災技術評価」制度を設けています。
 「外張断熱・耐震リフォーム SIR 工法」は、この「住宅等防災技術評価」を取得した信頼できる工法です。その取得・運営者である一般社団法人発泡プラスチック建築技術協会(B-CeP)では、設計・施工マニュアルを作成した上で、設計者、施工者に対する技術講習会を各地で定期的に開催するなどして、「外張断熱・耐震リフォーム SIR 工法」の信頼性確保に努めています。

SIR工法による耐震診断・耐震改修実施体制

 「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」の設計者、施工者は技術講習会を受講するほかにも一定の要件があり、これらを満たした場合にそれぞれ登録設計者、登録施工者として本ホームページ上で公開されています。「外張断熱・耐震リフォーム SIR工法」や関連情報に関する説明も受けられるので、断熱・耐震リフォームをご検討の際には是非お問い合わせください。

SIR工法で耐震改修を行うためには > 登録設計者/登録施工者

また、本ページと同様の内容のパンフレットも用意していますのでご参照ください。

パンフレット「性能アップ・リフォームのススメ!」ダウンロード

耐震・断熱改修、SIR工法よくあるご質問

SIR工法に関して、よくいただくご質問についてまとめました。以下からご確認ください。

耐震・断熱改修、SIR工法 よくあるご質問
  • 地震への備えは大丈夫ですか?木造住宅の耐震改修
  • 住宅の断熱改修
  • 断熱改修+耐震改修 構造用合板と発泡プラスチック断熱材を用いた耐震改修工法(SIR工法)とは
  • SIR工法で耐震改修を行うためには?申請書類・技術講習会のご案内
  • 断熱改修+耐震改修のすすめ
  • 外張断熱工法について
  • 〔施主様のページ〕性能アップリフォーム(耐震改修+断熱改修)のススメ!